サノスは悪か?
我が家はみんなMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が大好きで、Disney+で繰り返しアベンジャーズを見ている。とくにエンドゲームはみんなのお気に入りで“アッセンブル”するところを何度も見ては改めて興奮している。
“アッセンブル”するとこは本当に良い。半年に1回は“アッセンブル”が欲しくなるところだ。おっさんが広い浴場に入りたいと思う欲求と同じくらいの頻度だ。
……どんな頻度だ。
何度となく見るうちに、ふと疑問に思った。ヒーロー達のよってたかっての攻撃でも、なかなか倒せない強力なヴィラン・サノスのことだ。
作中で隠居生活に入っていた時にも、謎の哀愁を漂わせたり、養女として育てたガモーラを突き落として、悲しんだりするところを見ると『そもそもサノスってそんなに悪いの?』って疑問がふつふつと湧いてきた。きっと私はサノスが好きなのだろう。顔の色が特殊なアイツが。
妻に『サノスってそんなに悪いのかなぁ?』って聞いたら即答で『悪いに決まってんじゃん。』って返された。確かにヤツのせいでシリーズ通してヒーロー達は大変な目にあうわけで。ちょっとひねくれたオタクおっさんくらいしか、サノスの事は気にも留めないのかもしれない。
指パッチン
インフィニティ・ウォーのラスト、指パッチンで全宇宙の半分の生命体をこの世から抹消したサノス。かなりショッキングな展開にあ然とした方も多かったのではないか。
当然その後のエンドゲームでヒーロー達の活躍によって、指パッチンはキャンセル。サノスは倒され、多くの犠牲を払いながらも物語は大団円を迎える。
この戦いで主要キャラクターのアイアンマン、ブラック・ウィドウ、ビジョンが死亡し、過去に残る選択をしたキャプテン・アメリカはラストに老人の姿で現れる。
そもそも指パッチンとは正式名称デシメーション(大量殺りく)と言われ、その条件は……
- 宇宙中に散らばっているインフィニティ・ストーンを6つ全て集める。
- インフィニティ・ガントレットを腕にはめて、そこにインフィニティ・ストーンを6つはめ込む。
- ストーンの力に耐えて抗いながら、指を鳴らす。(指パッチン)
成功すると、指パッチンをした人の夢が叶う、というのが仕組みとなっているそうだ。
そしてサノスの夢は全宇宙の生命体の半数を抹消することだ。結構具体的なこの夢はサノスの若い頃からの悲願である。
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サノスのバックボーン
コミック版でサノスは土星の衛星・タイタン星の統治者の息子として産まれ、“エターナルズの末裔”として描かれている。エターナルズはMCUフェーズ4で登場するスーパーパワーを持った神様みたいな人達だ。その末裔なのだから強いのもうなずける。
映画では、タイタン星の人工増大で資源が枯渇したことから人々の間で飢餓や争いごとが増えて、結果的にタイタン星の人々は滅亡してしまった。この原体験(トラウマ?)からサノスは他の星を侵略し、その星の人々を半減させることを始めた。
人工が少なけば、自分の故郷のように資源の奪い合いで星が滅ぶことはないとサノスは考えている。彼の中で自分がやらなければという使命感があるのだろう。それができるのは強大な力のある自分しかいないと。
じつは救っていた?
サノスは全宇宙の星という星をめぐり、生命体を半減させる虐殺を行なっていったが、被害を受けた星はその後、安定と調和を手に入れている。のちに養女として育てるガモーラの種族ゼン・フーベリを虐殺により半減させた時も、貧しくゴミを漁るしかなかった生活を大きな犠牲はあれど変革させた。
過程はどうあれ、もしかしたら感謝している種族もいたのかもしれない。そして、これまでの武力による虐殺での人口半減よりも、指パッチンにより塵と消える人口半減のほうが、ある意味慈悲深いとさえ感じる。
そう、サノスは優しさも持っているのだ。映画ではサノスの残虐なやり方に嫌気が差し、結局たもとを分かつガモーラ&ネビュラも最後までサノスを敬愛する感情と憎しみの感情とが入り混じっていたようにみえる。
時に“父さん”と呼び、性格や習性をよく理解していた。ネビュラに至っては『父は残虐だけど、嘘だけはつかない』という言葉も残している。
コミック版でサノスはガモーラに対して普通の子供達と同じように誕生日には毎年お祝いをし、クリスマスにはツリーを飾り、サンタからのプレゼントも用意していた。そして自分の仕事(戦争)も極力休んで(休戦して)子供と一緒に過ごすように努めていたようだ。
自分が消える可能性もあった?
指パッチンを成功させた瞬間にサノスはソウルワールド(精神世界?)に強制的に移動、幼い頃のガモーラと会い、その後また現実世界に現れるのだが、その瞬間、自分の身体が消えていない事に驚いた表情をする。
これは推察ではあるのだが、このことから指パッチンでランダムに半数が消滅するその対象には自分自身も含まれていた可能性が高まる。『自分は消失してもかまわない』と考えていたのなら、それは“崇高な使命”と言っても過言ではない。
指パッチンの真実
『人工を半分にする』。昨今のSDGsの考え方を究極まで推し進めると、この結論に行き着くような気もする。結果、人間がいなけりゃ地球に優しいのだから。倫理的な観点を一切無視すれば”正しい”ことだと言える。
しかし、その実情はどうだろう。指パッチンの真実は。突然に全宇宙の生命体の半数が抹消されて残った人々は環境はどうなるのか?ここではそのポイントを考察してみたい。
犠牲者は半数では収まらない
指パッチンで突然に塵と消えるわけだから、事故が多発する。乗用車・バス・電車・飛行機・船舶あらゆる乗り物の事故が多発。それにより建物の崩壊・火災がおきる。
消防車も救急車も半分の数になっているのと、道路状況が悪すぎるのでなかなか到着しない。そして病院の医療従事者も半分になっているので、死傷者が倍以上に増える。
原発や火力などの発電所の事故や送電線が破壊されて大停電が起きる。犯罪が増えて強盗や略奪が増える。警察官も半分なのだ。
動物の絶滅危惧種はヤバい
全宇宙の生命体が半分になるので絶滅危惧種の動物ほど、絶滅の可能性が高まる。オスとメスが出会う可能性が格段に減るからだ。しかしながら、それ以外の野生生物にとっては人間が少なくなるので、個体数を増やせる可能性が高まる。
生物学者の間ではサノスの指パッチンは『人間が今起こしている環境破壊よりはましな考え方』と評価する学者もいる。多くの地球上の動物達にとってはサノスの指パッチンは福音なのだ。
病原菌・ウィルス・微生物
全宇宙の生命体が半分になることで、病原菌・ウィルス・微生物も半減する。この半減が人間や動植物にどのような影響をもたらすのかは、本当に未知数であり、地球は何が起きるか解らない状況におちいる。謎の疫病が流行ったりする可能性は否定できないだろう。
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戻ったら戻ったで死傷者が出たはず
エンドゲームの終盤でハルクの指パッチンで最初のサノスの指パッチンがキャンセルされる。
それによって5年間消えていた生命体がまた復活するのだが、消えた時と同様にもし突然人間が現れたのなら、それはそれで死傷者が多数出たことだろう。この事はあまり語られないが。
道路の真ん中や高速道路に人が突然現れたり、空中に人が突然現れたり、5年以内に新しくできた建造物の中に人が現れたり。
なかなかこれはこれで大変なのである。
またすぐに人口が増えるので付け焼き刃
サノスは生命の繁殖力をナメている。全人類の人口の半分の人間を抹消したとしても、じつは40年ぐらいで人口はもと通りになってしまう。食糧難も資源の枯渇もまたいずれやってくる。
指パッチン後に隠居して農業なんかやってる場合ではない。増えそうになったら全宇宙の生命体に対して定期的に口減らしを行わなければならないのだ。
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壮大なディストピアのたられば。 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、サノスが全宇宙の生命を半分消滅させてし…
まとめ
サノスの指パッチン、なんとなく気持ちは解るのだが正当化するのはやはり無理スジだ。サノスのすべてを憎む事はできないが、やはり指パッチンだけは正当化することはできない。
そもそも指パッチン自体、ドラゴボールのように願いをかなえる物なのだから、もうちょっと願い事の内容を考えてパッチンしなければならなかったのではないだろうか?
例えば、『植民地になるような銀河を増やす』とかSDGs的な観点で『再現可能な資源物質を作り出す』とか。願い事を変えても全宇宙を救うことはできたのではないか?
まぁ、とにかく、サノスは非常に魅力的でいろいろと考察すると楽しい存在である。皆さんもMCUやサノスについて楽しく考察してみてはいかがだろうか。