本当はもう自分の買い物はしなくても良い!
『殺し合いの螺旋から 俺は降りる』(バガボンド13巻より)
バガボンドで武蔵との死闘の末に辻風黄平こと宍戸梅軒が至った境地だ。名言が多いバガボンドの中でもひときわ印象深いセリフの1つ。
おっさんもじつはすでにその境地に達している。もう“殺し合い”は沢山なのだ。
“殺し合い”と言えば物騒な感じがするが、まぁ、この場合は“殺し合い”ではなく、“物欲”とでも言うのか…。
つまり、無駄遣いをしてしまった時に至る境地というわけで…。
本当はもう、とうに気づいているのだ。自分の買い物はしなくても良いということに。それでもまたやってしまう。ついつい買ってしまう。とくに私の場合は帽子やTシャツ。靴や書籍。
無駄遣いをするたびに思う、『物欲の螺旋から 俺は降りる』と。
一生使えるモノを
そこで出てくるのが、長く使えるモノを買うという事。できれば一生モノ。つまりそれを買って大切に使い、メンテナンスなどをしていくことで、逆に経済的になるようなモノ。代表的なものを上げてみると、
- ブーツ・革靴
- 時計
- デニム
- アウター
などが挙げられる。今回はそんな一生モノについて考えてみたい!
ブーツ・革靴
それなりの値段のするブーツや革靴を買うと、靴本体の持ちも良いし、靴底が減ったらソール交換で長く履ける。有名なブランドでいうと、ブーツではレッドウィング・ダナー・パラブーツ・ホワイツブーツなどで、革靴だとオールデン・コールハーン・トリッカーズ・パラブーツ・チャーチなどがある。ちなみにドクターマーチンやティンバーランドなどはソール交換ができないので除外。
普段から仕事でスーツを着ないブルーカラーの私のようなおっさんにとっては、革靴は考えないものとしても、ブーツは一生モノの1つとして認定したいところだ。
かくいう私もレッドウィングのブーツを愛用している。おっさん世代には懐かしい、レッドウィングのアイリッシュセッターだ。90年代藤原ヒロシ・NIGO・ムラジュンなどの裏原宿系のファションアイコン達がこぞって履いていたあの頃の憧れアイテムである。
昔は品薄状態で買えなかったり、高価で手が出なかったりしたアイテムを愛用できるのはおっさんならではの嬉しさがあるもので、それが流行りかどうかとかは、もはや関係ない。
私のスタイルではないが、パラブーツの細見の少しヨーロピアンテイストのブーツも格好良い。ジャケットスタイルによく映える。こちらはホワイトカラーおっさん向けのアイテムだと言える。
勿論、革靴の方もオールデンやパラブーツなどの良い味が出る名品が数多くある。こちらも一生モノ認定。
革靴は高いモノが多いが、『これさえあれば残りの人生、もう革靴を買わなくて良い!』と思われるアイテムを自分のスタイルに合わせて、購入するのは無駄撃ちをしないという観点から言うと、正解だ。
ブーツも革靴もソールを張り替えること(オールソール)で長く履き続けることができる。大抵の靴はグッドイヤーウェルト製法という作り方で、この作りの靴は5回前後オールソールできると言われている。
ちなみに私のアイリッシュセッターは5、6年間、週1くらいのローテーションで履いていたが、いまだ1回目のオールソールに至っていない。使用頻度やおっさんの残りの人生を考えてみても、経済的である。
時計
大体のおっさんは時計好きである。
私も買いもしないのにスマホの価格ドットコムなどで値段やデザインなどを見ている。『いつか欲しいな』的な願望は車やバイクにもよく似ている感覚だ。
しかしながら、時計の値段の幅は鬼のように広く、高いものは何百万、何千万とするわけで…。
ヴァシュロン・コンスタンタンやパテック・フィリップなどの天竜人時計など買えるわけもないし、じつはそこまで欲しいと思えない。じゃあ、そんな中でおっさんにはどんな時計が良いかといえば、ロレックス・TUDOR・IWC・オメガ・グランドセイコーなどのブランドではないだろうか。
……天竜人時計ってなんだよ。
カルティエ・シャネル・ブルガリ・ティファニーなどのブランドもあるがこれは好きずきなのだが、『餅は餅屋』的な観点から私は少し敬遠しがちだ。勿論、名品もあるのは知っているのだが。
……と、そんな事を言いつつも、実際私は、20代の頃に愛用していたオメガのムーンウォッチ(中古で20万円ほど)を泥酔したあげく紛失したのをきっかけに高い時計は購入していない!
そんな私が時計を語るべきではないのは重々自覚しているのだが…。
しかし、だからこそ行き着いた考えとして、『機械式時計なら何でも良い!』という極論。
機械式時計自体が資産価値は勿論のこと、世代を超えて受け継いでいけるというシロモノである。その時点でどのブランドとか値段とかは関係なく、一生モノ認定なのだ。
山田五郎氏のようにブランドの歴史からムーブメントの仕組みまで細く網羅する趣味人でないのなら、オートマチックでも手巻きでもよいので、『おっさん達よ、好きな機械式時計を買って、それを一生モノにしよう!』ってとこだ。
デニム&アウター
デニムは丈夫で長持ち、言わずと知れた一生モノの服の代表格である。
デニムの寿命は使用頻度や洗濯回数によって変わってくるが、おっさん世代にとっては10代➡20代➡30代と確実にデニムパンツの使用頻度は下がってきている事だろう。だからこれから先は、ますます所持しているデニムの寿命は伸びていくはず。
おっさんは生きてもあと40年くらいのものだから、2・3本所有していれば十分一生モノになるのである。
ブランドはリーバイス1択。種類も多いし、コスパとクオリティを考えると非常にバランスが良い。
現行の501(普通のシルエット)と503及び505(ちょい太いシルエット)できれば耳(セルビッチ)がついているもの。あとは黒の511(細いシルエット)。
個人的には古着屋でビンテージは買わなくて良いと思っている。お金がかかりすぎるのと、いいおっさんがボロボロのジーパンにあまりにこだわるのも、どうかと思うので。
だから現行のダメージ加工のものを長く履く。最近のダメージ加工は優れているので、それで十分。あと、まっさらの状態からジーパンを育てるのも効率が悪い。何故ならまっさらから写真のように良い感じに味を出すには、先に股下部分や裾、バックポケットの部分が駄目になってしまうからだ。その各所のリペアを考えるとダメージ加工を履くのがコスパ良しだ。
価格:17,600円 |
アウターはとにかく丈夫さ、そして普遍的なデザインのものを選ぶ必要がある。
値段の高い、高級なアウターは、本来、トレンドのアイテムであっても、左右されることなく長く着続けることが出来るモノが多い。
きっと、新しく買い替えてしまう気持ちになってしまうのは、自分自身のどこかに葛藤があるのかもしれない。そんな葛藤をおっさんは捨て去り、流行っている格好になりづらいとか気にしないで、数年とは言わず、何年も何年も着続けてみること。もちろん、最低限のメンテナンスは必要であるが。
一生モノ候補をあげてみるとMONCLER・CANADA GOOSE・NORTH FACEなどのアウトドアブランドのダウンジャケットや軍ものやワークブランドのN-3Bタイプのジャケット、LEWIS LEATHER・VANSON・SCHOTTなどのレザージャケットなどがある。
おっさん的一生モノとの向き合い方
ここまでである程度、一生モノのアイテムがどんなものを指すのかわかってきたと思うので、ここからは補足を少し。
一生モノ以外はできるだけ安く!
こだわって買った一生モノ以外はUNIQLOなどのファストファションで充分だ。
もともとを立ち帰ると、際限なく現れる物欲との向き合い方として一生モノを買う選択をしているのだから、ライフスタイルとして他のモノは節約で。
自分のスタイルの確立!
デニムやアウターなどの一生モノを買ったら買ったで、出てくる問題が、“同じ物いつも着ているおっさん”にならないかという問題。
ここが肝心なのだが、ある程度の年齢からはファション(流行)ではなくスタイルを模索するべきであるということ。
「ファッション」は消えてゆく、「スタイル」だけが残る。
ココ・シャネル
こういった名言も残っている。「ファッション」は今の流行りなので、それを身に着けることで誰でも取り入れることができるが、「スタイル」はごくごくパーソナル(個人的)なものであり、着ている人の中身を他人と差別化するもの、他の誰とも違うものであり、その人自身の意見や選択が反映されている。つまり「その人らしさ」を表現しているということ。
おっさんはもうその域に達していてしかるべきってことだ。そして自分のらしさの「スタイル」を持った人はもはや「ファッション」を気にしないのだ。
適正価格を踏まえる!
一生モノ候補の中には、当然バカ高いモノも多く含まれる。それだけ良品なのだと額面通りに受け止めてしまうのは危ない。
市場に出ているすべてのモノには適正価格ってのがあるのだ。例えば、これは私の勝手な見方なのだが、“プレ値”や“ニセモノ”が出回るようなアイテムは総じて価値と値段が合っていないと言える。
つまり、そこまでの価値がないのに値段だけが釣り上がった状態にある。そこの釣り上がった部分を補填しているのが稀少性やブランドの名前である。
その希少性やブランドの名前の方にお金を払う比率が多くなるのは本末転倒というか、賢い買い物とは言えない。
よっぽどそのブランドが好きで名前にお金を払いたいなら良いが。ようはそこらへんのバランス感覚である。
まとめ
おっさんが一生モノと付き合うのは賢いやり方で経済的!自分のスタイルや他の部分の節約を考えて、適正価格を踏まえて賢く買ってみよう!